女 (遠藤周作歴史小説集)

女 (遠藤周作歴史小説集)

この本の湖北にまつわる有名な文章に惹かれ、かつて購入した本。
その文章とは以下のようなもの。
「…何よりも私は北琵琶の春を愛する。多くの人は知らないが、桜の木がいつまでも尽きない湖畔があって、うるむような物憂い晩春、花吹雪のなかで、あまりの美しさに息を飲んだことがある。」
海津大崎のことですな。是非一度行ってみたいが…。
 
さて、本篇。
物語は淀の方辺りまでと思っていたら、
夏の陣を超えて一気に江戸中期〜後期まであった。遠藤さんにしては長編か。
前半はお市、淀の方、千姫を軸とした三代にわたる戦国の世に生きた女の物語。
後半は一転して、家光の乳母、春日局が大奥を開いてからの女の陰湿な争いを軸にした政治劇。
群像劇というスタイルは遠藤さんお得意の技法だと思うんですが、
編年体で300年間という時間を追いつつ物語るという手法は珍しいと思う。
後半は策謀ばかりで疲れましたなー。
こんな時代に生まれなくてよかった。
 
これで手持ちの遠藤さん作品は大体読んだ。次は司馬さんだな。
最近読書で寝るのが遅く、完全な睡眠不足です。